愛知県稲沢市在住の【中小企業診断士✖️IoTプロフェッショナルコーディネーター】が、ものづくりの楽しさをお伝えする《がちゃラボ》です。
これまでに、スマート製品の4つの段階のうち、見える化と制御の段階を説明しました。今回は3つ目の段階という事で、『最適化』を考えたいと思います。
最適化とは?
普段の生活の中で、あまり『最適化』という言葉は使わないんじゃないでしょうか。最適な温度環境、などのように、最適な○○という形で最適という言葉だけは時々目にします。
ただ筆者はプログラマーという仕事の中で、頻繁にこの最適化という表現を使います。無駄の多いプログラムがあって、それをスッキリとした形に作り直すことを、この業界(?)では最適化する、と呼んでいます。
では、辞書ではどのように説明されているでしょうか。
最適化とは、一般に、最適な処理方法を選択することである。具体的には、(1)プログラムの実行速度を向上させるため、(2)ソフトやデータなどを、パソコンの機種やOSなど実行する環境で最大の処理性能を発揮できるようするため、または(3)MS-DOSやWindowsのファイル管理において、ファイルへのアクセス時間を短縮するため、あるいは(4)画像処理やデータベースなどの分野において、何らかの状態を、実質的な内容を保持したまま最適な状態にすること、などの目的で最適化が行なわれる。
weblioより
前述の筆者の例は、具体例の(1)プログラムの実行速度を向上させる、という内容と同じです。
一方、スマート製品における『最適化』は、「自身の置かれた状況に応じ、性能を調整して、修正などを行う機能」のことを言います。上記の辞書の具体例でいうと、(4)が近いのかなと思います。
より良い状態を実現できるように、システム自身が判断する、という事ですね。
制御の段階までとどう違う?
制御の段階では、得られたデータによりモノを動かす、コントロールするということを実現していました。ネットワークを経由して、ただ動けば良いという段階でした(極端に言えば)。
最適化では、得られたデータから一番良い状態に調整をするという機能が加わります。例えば制御のページでは、水位によって水門の開け閉めというシステムを紹介しました。また、温度によって、水を撒く撒かないを制御する農園のシステムを例として挙げました。
最適化の段階では、この制御のシステムに、効率性や稼働率などの指標が与えられる事になります。
例えば、より効率が高くなるように機械設備を動かす、ということも最適化された状態と言えます。生産量が高くなるように稼働率を上げるために調整をして、モノを動かす、ということも最適化の段階で実現されます。
自分自身を診断する機能も最適化
最初の辞書の具体例(4)では、実質的な内容を保持したまま最適な状態にすること、と書かれていました。
内容を保持したまま、を言い換えると、設備がそのままの状態を維持したまま、設備がより長く継続した状態で稼働していること、と言えます。
そのためには、設備自身で稼動状態や故障状態をモニタし判断することが必要になります。これを予防診断という機能で実現しています。
故障検知という機能があって、そちらは読んで字のごとく、故障を検知してお知らせするというものです。が、壊れた後ですので、最適化の定義である、そのままの内容を保持とは少し違うかなと思います。
予防診断では、機械の工具の摩耗状態や使用回数、頻度や性能の劣化などにより故障時期を事前に予想し、「あとどれくらいで壊れるよ〜」とお知らせしてくれる機能になります。
この機能が導入されると、最適化の定義にある通り、実質的な内容を保持したまま最適な状態にする、ということが実現可能になります。
実現のために必要な技術
この最適化のシステム、例えば予防診断のシステムを実現するためには、どんな技術が必要でしょうか。
当然ですが、ネットワークに機器が接続されていて、故障までどのくらい、と通知する技術は必要です。
故障までにどのくらいを判断するためには、過去に故障に至ったデータが必要です。このデータの蓄積により、現在の状態がどの程度であるかジャッジできるわけです。そのために、大量のデータ(ビッグデータ)を扱う技術が必要になります。
また、故障までどのくらい時間が必要か、シミュレーションする技術も必要となります。
これらの技術の進展のおかげで、最適化の段階が実現できているのですね。
まとめ
今回はスマート製品4つの段階の『最適化』を扱いました。ただモノを動かすだけでなく、より効率的に、より良い形として制御するために必要な段階ですね。
得られたデータを最適な形に変えていくことで、最後の自律化・自動化という段階に繋がります。スマート製品では”外せない”ステップなんですね〜。
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