愛知県稲沢市在住の【中小企業診断士✖️IoTプロフェッショナルコーディネーター】が、ものづくりの楽しさを簡単にやさしくお伝えする《がちゃラボ》です。
今回はスマート製品には4つの段階がありますよ、というお話です。どんなものでも、ものだけじゃなく生物であっても、成長するためには、成熟するためには、その段階というものがあります。例えば、カブトムシなら、たまご⇒幼虫⇒サナギ⇒成虫というように。蛍であれば、ヤゴの段階があって、成虫になります。
このように物事には段階がありますが、同じようにスマート製品にも段階というものがあります。
そもそもスマート製品とは?
製品の段階の前に、スマート製品とはどういうものか説明します。
最近、良く新聞やニュースでスマート◯◯という言葉を聞くかと思います。身近なところでは、スマートフォン、スマートスピーカー、スマートウォッチがありますね。
このように、ネットワークに繋がって、高機能でより賢く、人間の暮らしや作業を快適に楽にしてくれる製品をスマート製品と言ってます。明確な定義があるわけではないですが、IoT製品≒スマート製品と筆者は考えています。
ただ最近は製品だけじゃなく、スマート工場やスマート農業など、様々なものにスマートをくっ付けて使われますね。ますます定義は分からなくなりますね。
スマート製品には段階がある
と、このようなスマート製品ですが、製品が進化していくためには、成長するためには、より便利になるためには、4つの段階があると唱えている方がいます。かの有名なマイケル・E・ポーター教授です。ポーターさんというと、競争戦略などで有名で、中小企業診断士の勉強をした人なら、必ず聞いたことがある有名な先生です。
このポーター教授とジェームズ・E・ヘプルマンが『「接続機能を持つスマート製品」が変える IoT 時代の競争戦略』の中で、スマート製品には4つの段階がある、と発表しました。
- 監視(モニタリング)
- 制御
- 最適化
- 自律化
この4つの段階があると考えています。
監視(モニタリング)
ポーター教授たちは、スマート製品にはまずは監視、モニタリングの段階があると考えています。温度や回数、時間など、これらのデータは主にセンサやタイマーから得られます。また、人間が検索エンジンで検索した結果もデータです。このようにデータや情報を得る段階がスマート製品ではまず重要となってきます。
良くある工場でのIoTシステムは、このモニタリングの段階までというシステムが多いのかなと思います。中小企業の工場であれば、このモニタリングで設備の稼働状況を見える化して、そして段取り時間の削減や、無駄な手順の削減等を行い、それにより十分すぎる効果が出ているようです。
複雑なシステムであっても、まずは状況を見えるようにすることが大切ということですね。
制御
次の段階は「制御」です。モニタリングでは、単に見るだけ、データを集めるだけでしたが、この段階では物を動かそう、コントロールしようとなります。
例えば、モーターを動かすとかバルブを開ける閉じるなど、人が命令を出して何かを動かす、という段階です。この段階では自動で動かす、というわけではなく、完全な人のオペレーションによって動かすことになります。
最適化
制御の段階でものをコントロールしますが、その際モニタリングで得られたデータを活用して、更に良くしようと最適化した上でコントロールするのが、この段階です。
気温や湿度から、エアコンの最適な温度状態を導き出す、とか、設備の稼働状況や劣化情報などから、メンテナンスの時期をアナウンスしたり、より良い情報を得る場合には最適化が必須です。
基本的にモニタリングの段階で得られたデータは、それだけ見るとあまり意味のないデータの羅列となります。ここに有用で効果的な意味を与えてあげることが、次の自律化への大切なステップとなるわけですね。
自律化
この段階まで来ると、自動で動く、とか、機械が考えて動くということになります。
前の3つの段階よりも、むしろこの自律化の段階の方が、皆さんイメージし易いかもしれないですね。
自動運転や、顔認証でドアが開く、診断機能によって機械自らが故障箇所を修理するなど、人間が介在せずに機械・設備のみで稼働するような製品は、この段階にあると言えます。
段階を踏むことが重要
こういった段階を定義し、その上でポーター教授たちは、前の段階を満足することでその次の段階がある、成立すると言っています。
どういうことかというと、いきなり最適化はできないですし、いきなり自律化も無理だということです。
最適化をするためには、モニタリングによるデータの蓄積が必要です。また物を制御する技術も必要です。これらが十分に備わっていないシステムで、いきなり最適化をしようと思っても無理なわけです。最適化したいデータがない状態ですので当然ですね。また、最適化されていない情報では、自律化は時間もかかり実現が難しくなります。
このように前の段階が十分に実現されていないのに、次の段階へジャンプするというのは、スマート製品では難しいと言っています。各段階をじっくりと検討し、作り込んでいくことが重要です。
まとめ
今回はポーター教授が唱えている、スマート製品の4つの段階をお伝えしました。会社で効率化するときもまずは状況を見える化するので、この話はスマート製品に限った話ではなく、仕事全般に言える話かもしれませんね〜。
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