副業プログラマーのHiro(ヒロ)です。
今回は、小学校教育におけるプログラミング教育に関して書いていきます。
小学校でも始まりましたね!
現在プログラマとして働いている私が、学習指導要領を読んで、どのように授業の中で取り入れられていくのか考えていきたいと思います。
学習指導要領の改訂の経緯
2020年の学習指導要領の改訂時に、プログラミング教育が登場しました。
文部科学省の資料を参考にしながら、改訂の経緯を筆者の視点で解説していきたいと思います。
今の子供たちやこれから誕生する子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。(中略)こうした変化の一つとして,人工知能(AI)の飛躍的な進化を挙げることができる。(中略)人工知能がどれだけ進化し思考できるようになったとしても,その思考の目的を与えたり,目的のよさ・正しさ・美しさを判断したりできるのは人間の最も大きな強みであるということの再認識につ ながっている。
引用 ~文部科学省「【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」~
今回の改訂の経緯は上記の通りです。ポイントとしては、
- 人工知能(AI)の飛躍的な進化
- 人工知能がいくら進化しても、判断するのは人間
が挙げられます。
人工知能(AI)の飛躍的な進化
これは皆さんも日頃の生活の中で実感している点ではないでしょうか。あるいは、当たり前の事となっているため、人工知能が活躍してる、という実感はないかもしてませんね。
数年前までは、人工知能というと漫画や映画の中だけで語られる物でした。人工知能をテーマに描かれた映画がいくつかありましたね。
あるいは、テレビゲームの中でもAIモードというものがあり、そういった創作物の中で触れるくらいでした。
それが今では日常生活の中で、さまざまな場面で使われるようになっています。経路探索やニュースの読み上げ、顔認証などなど。
この人工知能、AIという分野は僅か数年の間に劇的に変化しました。今後もこのように急激に変化する事、飛躍的に変化する事は容易に考えられ、学習指導要領ではこの変化に対応できるように小さなころから触れておきましょう、とそういう狙いがあり改訂されたようです。
ちなみに、2045年頃に人工知能が人間の知能を上回るという考え方があり、これをシンギュラリティ=技術特異点と言います。詳しくは下記の過去ブログにて。
人工知能がいくら進化しても、判断するのは人間
学習指導要領を読み込んでいくと、「プログラミングをできるようにする」という技術面でのスキルアップを狙っているというよりは、その授業を通じて「しっかりと自分で考え、そして判断できる子供を育てよう」という能力面での育成の方が想いとしては大きそうです。
その点は、改訂の経緯にもしっかりと書かれています。
人工知能がどれだけ進化しても,その目的を与えたり,目的のよさ・正しさ・美しさを判断できるのは人間
引用 ~文部科学省「【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」~
言い方を変えると、いくら便利なシステムや製品ができてとしても、それを使う側の人間が未熟だと正しく使えないよ、効果的に活用できないよ、ということを語っています。
目的のよさ
抱える課題に対して、そのシステムを使うことができるのか。
良い製品と悪い製品を見分けることができるか。
正しさ
与えた情報を適切な形に処理してくれるか。
アウトプットされた結果は、求める形になっているか。
美しさ
煩雑ではなく、無駄なくスマートに使うことができる製品・システムであるか
人工知能や、その他のITシステムが今後も日々新しいものが登場してきます。それらを適切に正しく使いこなせなければ宝の持ち腐れとなります。
より効果的に効率的に問題や課題を解決できるような人物に育てたい、という思いがあって、じゃあ小学生のうちからプログラミングや情報処理システムに触れさせておこうよ、といことで今回の改訂に至ったと考えています。
プログラミングに関する知識・能力を育てなかった場合の未来
では、仮にプログラミング教育が導入されず、今までと同じ教育体系だった場合、子どもたちにどのような未来が待っているでしょうか。
単純作業は機械に置き換わる
子供たちの教育環境が整わなくても、人工知能やITシステムはこの先どんどんと進化していきます。
2019年の現時点においても、工場での単純で繰り返しの工程は、どんどん自動化が進んでいます。
伝統工芸のような一品物の職人技で生み出されるような製品を除き、モノを作るという作業は人間の手間を掛けず、全て機械・コンピュータが自動で実施するようになるでしょう。
そうすると、現在の工場作業員という職業は少なくなり、家や車も機械が自動で作るようになるためそれらの仕事もなくなります。
家は無理でしょ、と思われるかもしれませんが、巨大な3Dプリンタがあって図面さえあれば、それをインプットするだけで制作することは可能となります(耐久性の問題はあるでしょうけど)。
よって、人間が手を動かしてモノを作るという仕事はいずれなくなると考えられます。
サービス業は外国人労働者がメインに
2019年4月に改正された入管法により、今後ますます外国人労働者の数は増えるでしょう。
執筆時点(2019年5月)では、それがどのように広がるのか分かりませんが、例えば介護や医療の分野では人材不足が叫ばれているため、この分野で外国の方に入ってもらい、サービスを提供してもらう、ということがどんどんと起きるでしょう。
飲食店やコンビニの店員さんも、外国の方が多くなり、今後もサービス業の分野では外国の方が活躍されることが大いに考えられ、日本人向けの求人では無くなるかもしれません。
安い労働力の確保というよりは、外国人労働者の方が、割合で考えると日本人よりも真面目で知識も持っているから、このようなシフトが起こると考えています。
日本人が働く場所って??
そうなったときに、プログラミングや情報処理に関する知識を持っていない、「ITはよく分からない」という日本人は、どのようなところで働くのでしょうか。
もちろん製造業やサービス業以外の仕事は他にもありますが、数で言ったら少ないのではないでしょうか。
「安定している」と思われがちな公務員の仕事だって、繰り返しの作業が多いため、機械に置き換わり今よりも狭き門になります。
そう考えると、他にどこがあるでしょう??
と、このような未来が現実になったときに、子どもたちが困らないように、今回の学習指導要領では早期に小さなころから情報処理能力やプログラミングのスキルを向上させようということで、改訂に至ったと考えられます。
もちろん、小学校で学ばなくても、中学・高校・大学で学ぶ機会があるため、上記は極端な話ではあります。しかし、実際に大学を卒業したお父さん、お母さんの中でも「プログラミングって????」という方もいるので、学ぶ機会を作らなければ学べない・学ばないという実情もあるのでしょう。
まだ小学校の段階では早いのでは?という方もいるかもしれませんが、筆者としては良いタイミングだと思っています。
まとめ
今回は小学校の学習指導要領から、プログラミング教育を導入するに至った背景を読み解きました。
また別の機会に、じゃあどういうカリキュラムになるの?どういう授業になるの?ということをお話ししたいと思います。
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